Medan City

出国前はいつも、現地の交通事情についてネットで調べてしまう癖がある。

 

スワンナプームからチェンマイ行きの寝台列車に乗るためには、どの駅でMRTを乗り換えればいい?

チェンマイ駅から旧市街に行くためにはどこでソンテウを捕まえればいい? 相場は? 

UBER使うにはどうしたらいいのかな?  

トゥクトゥクとバイタクってどっちが安いんだろう?

仁川からソウル市内にMRTで行ったら何分かかるんだろうか?

 

スマトラに飛ぶ前もそうだった。

しかし異国の交通事情について紹介する、型にはまったようなサイトは全くヒットしなかった。

その代わり、こんなことを言っているブログが乱雑していた。

 

メダンは治安が悪い。

メダンで夜に外出しない方がいい。

旅行で来ていたアメリカ人男性が強盗に足を切りつけられて云々。

メダンはインドネシアで指折りの治安が悪い都市である。

 など。

 

1度メダンに赴いてみるとよい。

そしてそこで気の済むまで生き抜いてみるとよい。

歩道に空いた大きな落とし穴を避け、大量の排気ガスを吸いこみ、五月蝿いトゥクトゥクの勧誘を軽くあしらいながら、街を歩きまわるとよい。

直感の言いなりになって不衛生な屋台の椅子に腰を下ろし、香辛料にうんざりするまでパダン料理を楽しむとよい。

感染症に罹る可能性を密かに感じつつ、それでも好奇心に打ち負かされ、氷がパンパンに入ったグラスで名前も知らない果物のジュースを飲んでみるとよい。

すれ違いざまに目線が交わったおしゃれなおじさんと微笑み合ってみるとよい。

会話の成立しない異邦人に対する親切さに感動してみるとよい。

 

ちょっぴりと不安定要素の混じった楽園を見つけるだろう。

都市化された、清潔な、便利な日本よりもよっぽど生き易かった。

 

未踏の異郷に、肝を据えて旅することができるほど強くなりたい。