diamond

外界との境界線は消え去った。

空気となって大気中を飛び回り

水となってガンジス川を流れた。

自然と一体化し、完璧なまでに調和のとれた世界にいた。

甲高いヤモリの声が部屋に響き渡れば、その鳴き声となり、

嘲笑うかのような鳥の鳴き声が半崩壊のレンガの隙間を駆け抜ければ、その鳴き声となり、

khruangbin の波の音が囁けば、右脳は mark spier と化した。

この瞬間、何者かであり、かつ何者でもなかった。

空洞であったが、統合でもあった。

ある場所にいたが、何処にもいなかった。

心の中の空洞は、自然を受け入れるため、あらゆる波の一部となるために存在している。

空洞を見て絶望するな。

空洞を見て傷心するな。

酒で無理に空洞を満たそうとするな。

自分は自然の一部だ。

寛大で広大な空洞で、自然の、鳥の、川の声を受け入れ

それらが牙を剥いても、宇宙へ笑いかけても、あるがままに任せよ。

自分はひとつだ。他の何者とも被ってなんかいやしない。

今まで宇宙上に存在しなかった独自のリズムで呼吸し、脈動することができる。

そして自分はただの空洞で、ただの波でしかない。

自然がそうであるように。