歪んだ世界

嫌になるほど整然とした首都の無音な街並みが歪んで眼に映る中

LUCKY STRIKE を深く吸い込みながら

隅田川沿いのゲストハウスに向かってとぼとぼと

なんとか真っ直ぐに歩いていた。

 

首都ではカネで買われたような安い女が虚栄を張っていた。

隣には頭がからっぽのだらしない男。

それらをギラギラと見つめる欲を満たせないサラリーマン。

 

とある名前がわからない工事中の橋の中程に差し掛かった時

そのどうしようもなく歪んだ世界に

綺麗な直線美を保ったスカイツリーが飛び込んできた。

 

文明にはじき出された底辺がたどり着く首都の隅っこに

手を引かれたような気がした。