Entries from 2019-08-01 to 1 month

瞼の裏側

幾度も経験を積み重ねるごとに、驚きや感嘆の表情は表に現れないようになり、水晶はどす黒い小石へと変化し、地平線に沈みゆく太陽を映し出す鏡のような瞳には次第に影が差してくる。 いつの間にか取り払われていた幼心をもう一度奪い返したい、とは誰しも思…

車と音楽

台風が近い中、飛行機に乗って大好きなバンド、尊敬する人を観に行った。 まだ梅雨前だというのに、すっかり梅雨を通り越したような空に覆われていた。 会場から数百メートル離れた駐車場にレンタカーを停め、豪雨のように降りしきる太陽光をかいくぐりなが…

nostalgia!!!!!

今にも押し潰されてしまいそうなお店に足繁く通うのが、好きだ。 ジャンルは問わない。 CD屋だって、飲み屋だって、ラーメン屋だって。本屋だってそうだ。 明日、道路拡張の通達が来てすぐにでも立ち退きを迫られるかもしれない。 カネが尽きて店主が飛んで…

内向的薄暮

薄く汗をかいた肌にまとわりつく湿気が不快で目が開く。 陽はまだ上る気配はない。 隣の友達の純白でしなやかな腕は、重力で俺の頚動脈を薄弱に圧迫する。 手荒くそれを払いのけ、再び瞼を閉じる。 目覚めはいつでも太陽とともにある方がいいに決まっている…