純粋な日々が欲しい
また、飛びたくなってきた。
今年の夏はほぼほぼ写真を撮ってばっかしだったから、次は全部独りで、
無心に行きたい場所に行って、けど寝坊したり面倒だったりで行かない時もあって、散々迷った挙句毎日おんなじもの食って、刺々しい太陽に殺られながらカフェに転がり込んで昼下がりのビールをキメて、煙草片手にスラリと佇むブロンドやドレッドに憧れて...
カフェで年上の日本人女性二人と出会って、もう一人大学生とも知り合って、忘れかけていた母国語で何時間もおしゃべりして、それでも話し足りずに晩御飯を食べる約束をして、次の日の晩も一緒に食べに行って、もちろん旅のお話で箸と酒が進んで、俺が知らない世界のことをたくさん教えてくれて、はたまた恋のお話なんかもして、あんなに惜別の感に浸ったのはかなり久しぶりで...
出国直前に撮った写真を見返すと目が全く笑えていないけど、その時ばかりは笑えていた気がする。
話は少し変わるけど、今まで先を見据えずに旅をしたことが、一度もない。
それは毎回、目的地が決められているってことだ。
どこか物足りない。
学生が一旦終わったら、思う存分時間を作って当てのない旅をしよう。
直感がそう言うのに、従わない理由はないだろう。
先のことが既に決まってしまっていたり、これから起こるであろうことが手に取るように、あからさまに見えてしまうと、訳も分からず不安な気持ちになって、衝動的な行動に出ることがある。
ほら、明日だって
目覚ましに起こされて、朝食はめんどくさくて口に入れないまま、andymoriをかけて、まだ冷たいアスファルトをじっと見ながらトボトボと歩いて行って、堅苦しい単語は宙を漂っていて、たまらず小説の中に逃げ込んで、なんだ、こっちの世界も大して変わりゃあしないな、と思うんだ。
衝動の遣りどころがない鬱憤が溜まった結果が、幾月か前の高雄への旅だったのかなあ。なんだか物足りなくて、強烈な刺激に殴られたくて、遅い晩飯終わりにアルコールを入れながら、翌日の昼に発つLCCのチケットを取った。
途端に向こう1週間がとんでもなく楽しみになって、心臓から沸騰するようにエネルギーが湧き出てきて、これだ! と思って、嬉しくて嬉しくて随分と久しぶりに瞳が輝いていたんじゃないかな。
ちょっぴりと内向的で不安定だけど、時たまこんなにも純粋な表現がチラリと覗く感情と、死ぬまで親友でいたいなあ。