アルコールを通してしか見えない美しさがある

アルコールを通してしか見えない美しさがある。
肥大した大脳新皮質によってもたらされた、カメラ技術の進歩。
解析度の向上によって脳が眩むほど強調された、ヒトやモノの輪郭。
明晰な輪郭によって形成された、個人と世界との壁。
画面を通して見る世界は、鋭利で、冷徹で、触れるのさえ憚られる。
こんな退化した世界酒瓶で叩き割って、アスファルトに飛散したアルコールを舐め尽くす。
はは、朦朧な世界よ、久しぶり。
視界は8mmよろしく。
輪郭が崩壊した世界と抱き合おう。